肖像権の話【その2】

ポスティングなどに使用するチラシを作る際の掲載画像について、
ご自分で撮影される場合にはそこに映り込んでしまった人の
肖像権に注意する必要があります。
前回、肖像権とはどの様なものかなどについて
『プライバシー権』
『パブリシティー権』
に分けてお話ししましたが、今回は具体的にどの様な場合が
『肖像権侵害』
にあたるかについてお話ししようと思います。
 
肖像権は法律で明らかに確定された権利でないことから、
そのものが肖像権を侵害しているか否かは、
これまでの事例を勘案して大体の基準を見極めることが重要になります。
どのようなケースが肖像権の侵害にあたるか、
過去の事例を参考に例をあげて考えます。
 
・個人の容貌をそのまま撮影や記録をし、
 大勢の人の目が触れる広告などで公表した。
・ある人物を無断で撮影してその写真をインターネット上で公開した。
・街などでたまたま見かけたある有名人の顔を写真撮影した。
 
肖像権の侵害と判断する事例の基準は、
被撮影者の受忍限度を見て判断される傾向にあるようです。
即ち容貌を撮影した場所や目的、被撮影者の社会的地位や影響度を考慮して
社会生活においてダメージを受けるとは考えにくい場合には
肖像権侵害は認められないと考えられます。
 
「誰でも通ることのできる公共の場所を
ただ歩いている時にその姿が映り込んでしまった」
というケースでは心理的な負担や社会的ダメージを与えないとして、
肖像権侵害ではないと判断されています。
 
過去の事例を通して見る、肖像権侵害を判断するを以下に記します。
 
経済的な価値の有無(有名人か否か)。
その人物が明確に特定できる。
その場所が秘密性の保たれていた場所か否か(駅など公的な場所は秘密度が低い)。
拡散性(SNSは拡散性が高いが知人など特定の個人に
メールなどで送信しただけではその範囲は狭い)。
著作権との関連も深いとされる肖像権。
 
タレントさんや俳優さん、スポーツ選手などが持つ肖像権は、
財産権に関する面もあることから著作権とも関連が深い権利になります。
例えばある俳優さんの顔写真が掲載された雑誌は、
著作物として権利が保護されています。
一方で芸能人などの顔写真には肖像権も存在します。
肖像権を考える場合は著作権との関連性も交えて
それぞれの価値や特徴を正確に把握することが必要になります。
肖像権やその中に含まれるパブリシティ権といったものは、
法律に明確に記されていませんが、
事例によって権利保護の重要性が明示されています。
今はインターネットを通じて誰でも顔や容姿が
大衆の面前に晒される機会があることから
一般人が肖像権の侵害に遭ってしまうこともあり得まると考えるべきです。
 
ポスティングを行う前段階でのチラシ制作について、
ご自分でその掲載画像を撮影する場合には、これまでお話しした
肖像権などについて十分に理解する必要があります。
名古屋ポストサービスではこういった点にも配慮したチラシ制作を行っております。